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書店員大学生のおすすめ本紹介

おすすめ小説紹介② 「人魚の眠る家(東野圭吾)」

小説紹介第2弾!

 

こんにちは、キジトラです。

本日の福岡は少しだけ温かく、非常に過ごしやすい感じがしました。いつもだと授業が休みの日はカメラをもって散歩に出かけたりするんですけど、最近は自粛期間なのでお休みです。

 

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↑以前相島で撮影したねこ。

 

猫のようにのんびり生きたい今日この頃。さて、今回はおすすめ小説紹介第2弾ということで、本棚から1冊ピックアップしてきました。もしかしたら知っている方も多い作品かもしれません。それでは、行ってみよう!

 

 

人魚の眠る家」について

 

今回ご紹介するのは、東野圭吾さんの「人魚の眠る家」です。

まず作者について、本を普段そこまで読まない人も名前くらいは聞いたことあるかもしれません。数々の傑作ミステリーを世に送り出し、これまでたくさんの作品が映画化、ドラマ化されてきました。きっと根強いファンが日本中にいることでしょう。

 

人魚の眠る家」についても、2018年に堤幸彦監督のもと映画化されました。主演は篠原涼子さん、西島秀俊さんと豪華なキャスティングです。もしかしたら映画だけ見られた方もいるかもしれませんね。以下簡単なあらすじです。

 

価値観が合わず離婚を考えていた夫婦のもとに届いたのは、娘がプールでおぼれたという突然の悲報でした。病院に駆けつけて医師に告げられた言葉は、「おそらく脳死」。一旦はその現実を受け入れた二人でしたが、娘に別れを告げる直前、あることがきっかけでその決断を取り消すことになります。それから夫婦は驚くべき方法で、娘と”ともに生きていく”道を模索し始めるのです。

 

 

おすすめポイント

 

この小説のおすすめポイントは、なんといっても恐ろしいほどの現実性。東野圭吾ファンの皆さんであれば、一つ一つの作品に凝縮されたメッセージに心を打たれてきたはずです。今回もかなり内容の濃い物語に仕上がっています。

脳死インフォームドコンセントの問題って、普段耳にすることはあるものの、なかなかじっくりと考える機会はないですよね。それはなぜか。当事者になることがほとんどないからだと私は思います。「大切な人が脳死だと判定された。目を覚ますことは二度とないが、心臓はまだ動いている。」文章では理解できても、実際の感情はなかなか想像しきれないものです。

しかしこの小説を読み進めていくと、こうした難しい状況に直面した夫婦とその周辺の人たちの心情が痛いほどに伝わってくるんです。娘の生き方を模索していくうちに夫婦はエスカレートし、周囲に「異常だ」と言わしめるほどの行動をとり始めます。しかし、娘を愛し、生きていてほしいと願うことが本当におかしいことなのか。そもそも、生きているとはどういうことなのか。フィクションでありながらも恐ろしいほどの現実性をもって、この作品は私達に答えのない問いを投げかけます。

 

扱ってあるテーマとしては意見の分かれるところではありますが、間違いなく読んでよかったと思える作品です。明確な答えは見つからずとも、この本に出会えたことが将来の財産になると私は感じています。

 

東野圭吾さんの他の作品についても、またいつかご紹介できたらと思います。では、今回はこの辺で。